数次相続とは、ある人の相続手続き(遺産分割や名義変更)が終わらないうちに、その相続人の1人が亡くなり、次の相続が重ねて発生している状態のことです。
実家の名義を確認したら、亡くなった親ではなく、祖父母の代のままになっていた、というケースでよく見られます。相続登記は2024年3月まで義務ではなかったため、名義変更をしないまま何十年も放置されてきた不動産が数多く存在し、その間に相続人自身も亡くなって、さらにその子どもたちに相続権が引き継がれている、という状態が生じやすくなっています。
数次相続で特に問題になるのは、相続人の数が想定より大幅に増えてしまうことです。たとえば祖父に子が3人いた場合、本来の相続人は3人ですが、名義変更をしないうちに、その3人のうち何人かが亡くなっていると、それぞれの子(孫の世代)にも相続権が発生し、面識のない親族を含めて相続人が5人、10人と膨らむことがあります。全員から遺産分割協議への合意を得る必要があるため、手続きにかかる時間と労力は大きくなります。
数次相続の実家を売却するには、まず名義人(祖父母等)の戸籍を出生から死亡まで取得して各段階の相続人を確定し、現在の相続人全員で遺産分割協議を行い、相続登記を申請する、という順序で進める必要があります。相続登記の義務化により、2024年4月1日より前に発生していた相続についても、2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。相続人の範囲が広い場合は、早めに司法書士へ相談することをおすすめします。
数次相続かどうかを見分ける手がかりは、登記事項証明書の所有者欄です。そこに記載された名前が、実際に亡くなった親の名前と異なっていれば、その前の代からの相続がまだ処理されていないことが分かります。戸籍の収集は、本籍地が転々としている場合は複数の市区町村役場への請求が必要になり、時間がかかります。相続人の人数が多くなりそうな場合や、面識のない親族が関わりそうな場合は、早い段階で司法書士に調査から依頼することで、全体の見通しを立てやすくなります。