現況渡しとは、不動産を売買するときに、建物や設備、場合によっては家財を、現在の状態のまま買主に引き渡すという取引条件のことです。
実家の売却でよく問題になるのが、「家財を片付けてから売るべきか、そのまま売れるのか」という点です。結論から言えば、家財が残ったままでも、現況渡しという条件で売却することは可能です。ただし、口頭の了解だけで済ませるのではなく、売買契約書に、どの範囲の家財を残すのか、撤去にかかる費用を誰が負担するのかを明記しておくことが重要です。ここが曖昧なまま引き渡すと、後になって買主から追加の撤去費用を請求されるなどのトラブルにつながることがあります。
現況渡しには、建物についても「契約不適合責任を負わない」という条件(契約不適合責任の免責)が併せて付されることが一般的です。古い建物の場合、雨漏りやシロアリ被害など、引き渡し後に判明する不具合について、売主が責任を負わない代わりに、価格を抑えて取引するという考え方です。買主にとってはリスクがある分、価格交渉で不利になりやすい点は理解しておく必要があります。
現況渡しは、片付けにかかる時間や費用を省いて早く売却したい場合や、遠方に住んでいて片付けのために何度も現地へ通うのが難しい場合に選ばれることが多い方法です。訳あり物件を専門に扱う買取業者の多くは、現況のままでの買取に対応しています。一方、一般の仲介で高値を狙う場合は、片付けてから売り出したほうが有利になることもあるため、不動産会社に両方のケースでの査定額を確認したうえで判断することをおすすめします。
現況渡しで売却する場合でも、水回りの動作確認や、雨漏り・シロアリの有無といった建物の基本的な状態は、可能な範囲で買主に伝えておくことが望ましいとされています。知っていながら伝えなかった不具合は、契約不適合責任の免責特約があっても、後にトラブルの原因になることがあるためです。不安がある場合は、ホームインスペクション(建物状況調査)を利用して、専門家に建物の状態を確認してもらったうえで、その結果を買主に開示するという方法もあります。
関連項目:契約不適合責任、取得費