遺産分割とは、亡くなった方が遺した財産(遺産)を、相続人の間でどのように分けるかを決める手続きのことです。
遺言書がない場合、相続財産はいったん相続人全員の共有状態になります。実家についても同じで、名義変更(相続登記)をする前に、まず「誰がその不動産を取得するのか」「取得しない相続人にはどう補うのか」を相続人全員で話し合って決める必要があります。この話し合いを遺産分割協議と呼び、まとまった内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。
分割の方法には、主に4つの型があります。現物分割(財産をそのままの形で分ける)、代償分割(1人が財産を取得し、他の相続人に金銭を支払う)、換価分割(財産を売却して代金を分ける)、共有分割(複数人の共有名義のままにする)です。実家のような分けにくい不動産では、代償分割か換価分割が選ばれることが多くなっています。
遺産分割に期限はありませんが、相続税の申告期限(10か月)までに分割が終わっていないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、一部の税制優遇が使えなくなる場合があります。また、2024年からの相続登記義務化により、分割が長引く場合は暫定的に相続人申告登記で申請義務を果たす方法もあります。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することもできます。
実家をめぐる遺産分割で難しいのは、金額だけでは割り切れない感情が絡む点です。「思い出のある家を手放したくない」という気持ちと、「公平に現金で分けてほしい」という気持ちが、きょうだいの間で食い違うことは珍しくありません。話し合いを始める前に、まずそれぞれの希望とその理由を共有し、金額の話はそのあとにすることで、感情的な対立を避けやすくなります。まとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法もあります。
分割の方法を決める前に、相続財産の全体像(不動産、預貯金、有価証券、債務など)を一覧にしておくと、話し合いがスムーズに進みます。実家の評価額だけを見て「均等に分けにくい」と決めつけず、他の財産とあわせて調整できないかを検討することも有効です。たとえば、実家を取得する代わりに預貯金の取り分を少なくする、といった形で、不動産以外の財産とバランスを取りながら合意する方法もよく用いられています。