筆界特定制度

筆界特定制度とは、土地の所有者等の申請にもとづき、法務局の筆界特定登記官が、外部の専門家(筆界調査委員)の調査を踏まえて、登記上の境界線(筆界)の位置を特定する制度のことです。

実家の売却では、多くの場合、隣地所有者立ち会いのもとで境界を確定させる「確定測量」が必要とされます。ところが、隣地の所有者が遠方に住んでいる、相続が発生していて連絡がつかない、あるいは過去のトラブルから協力が得られない、といった事情で、確定測量を進められないことがあります。このような場合に活用できるのが、筆界特定制度です。

法務省の資料によれば、この制度の大きな特徴は、隣地所有者の同意が得られなくても、法務局の判断によって筆界を特定できる点です。裁判所での境界確定訴訟のように時間や費用がかかる手続きを経ずに、比較的短期間で境界を明らかにできます。標準的な処理期間の目安は9か月程度とされていますが、関係者の数や事案の複雑さによって変動します。手数料は、対象地の固定資産税評価額等をもとに算定されます。

注意点として、筆界特定はあくまで「登記上の境界線」を明らかにする手続きであり、実際の所有権の範囲(所有権界)についての争いを法的に確定させる効力までは持ちません。所有権の範囲そのものに争いがある場合は、別途、境界確定訴訟などの法的手続きが必要になることがあります。境界に関する問題を抱えている場合は、まず土地家屋調査士に相談し、確定測量と筆界特定制度のどちらが適切かを判断してもらうことをおすすめします。

筆界特定制度を利用する際は、まず土地家屋調査士に相談し、対象地の状況(過去の測量図の有無、隣地所有者の状況など)を整理したうえで、法務局に申請するのが一般的な進め方です。申請から筆界特定までは、事案が単純であれば数か月、複雑な場合は1年近くかかることもあります。急いで境界を確定させたい場合は、隣地所有者との任意の話し合いによる確定測量と、この制度のどちらが早く進められそうかを、専門家と相談しながら判断するとよいでしょう。

関連項目:隣地境界、地積測量図、再建築不可