換価分割とは、相続財産を売却して現金化し、その代金を相続人の間で分ける遺産分割の方法のことです。
実家のような不動産は、現物のまま複数の相続人で公平に分けることが難しい財産です。「誰か1人が住み続ける」「賃貸に出す」という具体的な利用計画がなく、相続人全員が「現金化してよい」と考えている場合、換価分割はもっとも分かりやすく、後々のトラブルも少ない方法とされています。
進め方としては、まず相続人全員でいったん法定相続分(または合意した割合)で相続登記を行い、共有名義にしたうえで売却し、売却代金を各自の持分に応じて分配する方法が一般的です。あるいは、便宜上、相続人の代表者1人の名義に登記したうえで売却し、代金を分配する方法が取られることもあります。この場合、遺産分割協議書に「売却して代金を分割する」旨を明記しておくことが重要です。明記がないと、代表者から他の相続人への送金が、贈与とみなされて贈与税の対象になるおそれがあるためです。
換価分割のメリットは、不動産という「分けにくい財産」を、現金という「分けやすい財産」に変えられる点です。一方で、売却には仲介手数料や譲渡所得税がかかるため、手取り額は売却価格そのものより少なくなります。また、売却までに時間がかかるため、相続税の申告期限(10か月)に間に合わせるスケジュール管理も必要です。実家を「残す人がいない」場合の現実的な選択肢として、代償分割とあわせて検討されることが多い方法です。
換価分割を選ぶ場合、売却先を決める前に、複数の不動産会社から査定を取り、相続人全員が納得できる価格の目安を共有しておくことが望ましいとされています。査定額に差が出ることも多く、根拠が説明できる会社を選ぶことで、後になって「もっと高く売れたのでは」という不満が生じにくくなります。売却後の手取り額は、仲介手数料や譲渡所得税を差し引いた金額になるため、分配前におおよその手取りを試算しておくと、相続人間の認識のずれを防げます。