親が亡くなり、実家をどうするかという問題が目の前にあります。悲しみの整理がついていないうちに、次々と手続きの話が出てくることもあると思います。
すべてを一度に決める必要はありません。まずは、状況を把握するための最初の一歩を、順番に踏んでいきましょう。
この記事の結論
まず「名義」「相続人」「建物の状態」の3つを確認してください。売るか残すかを決めるのは、そのあとで構いません。並行して、期限のある手続きがないかも確認します。
この記事で分かること
- 最初に確認すべき7つのこと
- それぞれをいつまでに、どこで確認するか
- 家族間で最初に共有しておきたいこと
- この段階でまだ決めなくてよいこと
最初に確認する7つのこと
1. 名義を確認する
実家の名義が誰になっているか、登記事項証明書(登記簿謄本)で確認します。法務局の窓口またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得できます。名義が祖父母の代のままになっていることも珍しくありません。
(目安:相続発生後、早い段階で)
2. 相続人を確認する
亡くなった方の戸籍を出生から死亡まで遡って集め、法定相続人が誰かを確定します。想定していなかった相続人(前の配偶者の子など)が判明することもあります。
(目安:1〜2か月)
3. 建物と土地の状態を確認する
可能であれば現地に行き、建物の傷み具合、家財の量、境界の状況を確認します。遠方で行けない場合は、次の章で代替方法を説明します。
(目安:早めに1回)
4. 家財の中から重要書類を探す
権利証(登記識別情報通知)、実家を購入したときの売買契約書、通帳、印鑑、保険証券などを確認します。特に売買契約書は、将来売却する際の税金計算に関わるため重要です。
(目安:現地確認時に)
5. 期限のある手続きがないか確認する
相続放棄(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税申告(10か月)、相続登記(3年)に該当するかを確認します。
(目安:早めに把握)
6. 家族間で情報を共有する
確認した内容を、相続人全員で共有します。この段階では「結論」ではなく「事実」を共有することを意識してください。
(目安:随時)
7. 誰に相談するかを整理する
名義の問題は司法書士、税金は税理士、売却は不動産会社というように、内容ごとに相談先を整理します。
(目安:必要になった時点で)
名義の確認方法
登記事項証明書は、法務局の窓口、郵送、またはオンラインの登記情報提供サービスで取得できます。1通あたりの手数料は数百円程度です。
確認すべき点は次の2つです。
- 所有者欄に誰の名前があるか(亡くなった方本人か、それより前の代のままか)
- 抵当権など、他の権利が設定されていないか
名義が祖父母の代のままになっている場合、相続人の数が想定より大幅に増えていることがあります。この場合は早めに司法書士へ相談することをおすすめします。
相続人の確認方法
亡くなった方の戸籍謄本を、出生から死亡までさかのぼって取得し、法定相続人を確定します。本籍地を転々としている場合、複数の市区町村役場に請求することになります。
専門家に依頼すると効率的な作業です 戸籍の収集は、本籍地が遠方だったり、転籍を繰り返していたりすると、時間と手間がかかります。司法書士や行政書士に依頼すると、代わりに収集してもらえます。
現地に行けない場合
遠方に住んでいて、すぐに実家へ行けないことも多いと思います。その場合は、次の方法で代替できます。
- 近隣の親族に、外観だけでも確認してもらう
- 不動産会社に、外観と簡易な状態確認を依頼する(無料で対応する会社もあります)
- 空き家管理サービスに、初回の状況確認を依頼する
まったく現地の状況が分からないまま次の判断に進むのは避けてください。少なくとも1回は、何らかの方法で状態を確認することをおすすめします。
この段階で、まだ決めなくてよいこと
次のことは、名義・相続人・建物状態の確認が終わってから考えれば十分です。焦って結論を出す必要はありません。
- 実家を売るか、残すか、貸すか、壊すか
- 具体的にどの不動産会社に依頼するか
- 家財をすべて処分するかどうか
まずは事実を確認し、そのうえで売る・残す・貸す・壊す比較を参考に、家族で方向性を話し合ってください。
誰に相談するか
| 確認したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 名義・相続登記 | 司法書士 |
| 相続税がかかるか | 税理士 |
| 実家の売却・活用 | 不動産会社 |
| 相続人の間で意見が割れそう | 弁護士 |
詳しくは誰に相談するかで、それぞれの役割を説明しています。
よくある質問
Q. 何から手をつければ一番効率的ですか。 A. 名義の確認(登記事項証明書の取得)が最初の一歩として動きやすいです。取得は郵送やオンラインでも可能で、現地に行かなくても進められます。
Q. 相続人が多く、全員と連絡が取れていません。 A. まずは連絡が取れる範囲で情報を共有し、並行して戸籍を収集して相続人を確定させてください。連絡が取れない相続人がいる場合の対応は、相続人と連絡が取れない場合の進め方で説明しています。
Q. 家財の中に何があるか分からず、片付けから手をつけられません。 A. 片付けは必須の最初のステップではありません。名義と相続人の確認を先に進めながら、片付けは別のタイミングで検討して構いません。詳しくは家財が残ったままでも売却できる?をご覧ください。
まとめ・次にすること
- 最初に確認するのは「名義」「相続人」「建物の状態」の3つ
- 並行して、期限のある手続き(相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記)に該当するか確認する
- 「売る・残す・貸す・壊す」の結論は、事実確認の後でよい
- 現地に行けない場合も、代替手段で最低限の状態確認はしておく
次にすることは、登記事項証明書を取得して、名義を確認することです。ここから、必要な手続きの全体像が見えてきます。
何から手をつけるか整理したい場合は、相続後90日チェックリストに沿って進めると抜け漏れを防げます。