相続の手続きでは、同じような書類を何度も求められることがあります。先にまとめて把握しておくと、市区町村役場や法務局へ行く回数を減らせます。
この記事の結論
共通して必要になるのは、亡くなった方の戸籍(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、実家の登記事項証明書と固定資産評価証明書です。手続きごとに追加で必要な書類が変わります。
この記事で分かること
- ほとんどの手続きに共通して必要な書類
- 相続登記・相続放棄・相続税申告・売却で、それぞれ追加になる書類
- 兄弟姉妹相続・数次相続・未成年や認知症の相続人・海外在住の相続人がいる場合に追加で必要な書類
- 取得先と、取得にかかる期間の目安
- 何度も取り直す手間を減らす方法
共通して必要になる書類
| 書類 | 取得先 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 亡くなった方の戸籍謄本(出生〜死亡まで) | 本籍地の市区町村役場 | 相続人の確定 |
| 亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票) | 最後の住所地の市区町村役場 | 登記名義人との同一性の証明 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 | 相続人であることの証明 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地の市区町村役場 | 遺産分割協議書等への押印確認 |
| 実家の登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 | 名義・権利関係の確認 |
| 固定資産評価証明書 | 実家がある市区町村役場(東京23区は都税事務所) | 登録免許税・相続税の計算 |
法定相続情報一覧図を作っておくと便利です 亡くなった方と相続人の関係を1枚にまとめた図を法務局に認証してもらう制度です。一度作成すれば、その後の相続登記・銀行手続き・相続税申告などで、戸籍の束の代わりに使えます。司法書士に依頼して作成することもできます。
手続きごとに追加で必要な書類
相続登記(名義変更)
- 遺産分割協議書(相続人で分け方を決めた場合)
- 相続人全員の印鑑証明書(協議書に添付)
- 遺言書(ある場合。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要な場合があります)
- 登記申請書(司法書士に依頼する場合は司法書士が作成)
相続放棄
- 相続放棄申述書
- 亡くなった方の住民票除票または戸籍附票
- 申述する相続人の戸籍謄本
- 収入印紙(申述人1人につき800円)、連絡用の郵便切手
家庭裁判所ごとに必要書類が多少異なる場合があるため、申述先の家庭裁判所のホームページで最新の案内を確認してください。
相続税の申告
- 相続財産の一覧が分かる資料(預金通帳、有価証券の残高証明書、不動産の評価に関する資料等)
- 債務・葬式費用が分かる資料
- 相続人全員のマイナンバーが分かる書類
- 特例を使う場合は、それぞれの要件を満たすことを示す資料(空き家特例なら耐震基準適合証明書等)
財産の種類が多い場合、書類の準備だけでもかなりの時間がかかります。早めに税理士に相談し、必要書類の案内を受けることをおすすめします。
実家を売却する場合
- 登記識別情報通知(権利証)
- 固定資産税納税通知書
- 建築確認済証・検査済証(ある場合)
- 実家を購入したときの売買契約書(取得費の証明に使用。譲渡所得税の計算に影響します)
- 相続人全員の本人確認書類、実印、印鑑証明書
売買契約書が見つからない場合、取得費は売却価格の5%とみなして計算することになり、税負担が重くなる可能性があります。片付けの際に必ず探してください。
相続人の状況によって追加で必要になる書類
家族構成や相続人の状況によっては、共通書類・手続き別書類に加えて、次のような書類が必要になります。当てはまるものがないか確認してください。
| 状況 | 追加で必要になりやすい書類 |
|---|---|
| 兄弟姉妹が相続人になる場合 | 亡くなった方の父母それぞれの出生から死亡までの戸籍(兄弟姉妹以外に相続人がいないことを証明するため) |
| 数次相続が起きている場合(相続手続き中にさらに相続人が亡くなった場合) | 亡くなった方の戸籍に加え、後から亡くなった相続人本人の戸籍一式 |
| 未成年の相続人がいる場合 | 親権者自身も相続人であるときは、家庭裁判所が選任した特別代理人の選任審判書(親権者は利益相反のため代理できない) |
| 相続人に認知症等で判断能力がない方がいる場合 | 家庭裁判所が選任した成年後見人の選任審判書、および後見人の印鑑証明書 |
| 相続人が海外に住んでいる場合 | 印鑑証明書の代わりに、現地の日本領事館で発行するサイン証明書(署名証明書) |
これらに該当する場合、通常の戸籍収集だけでは手続きが進められないことがあります。早めに司法書士・弁護士に相談し、自分のケースで何が必要かを確認することをおすすめします。誰に相談するかもあわせてご確認ください。
取得にかかる期間の目安
| 書類 | 期間の目安 |
|---|---|
| 戸籍謄本(窓口) | 即日〜数日 |
| 戸籍謄本(郵送・遠方の市区町村) | 1〜2週間 |
| 登記事項証明書 | 即日(オンライン請求も可能) |
| 法定相続情報一覧図の認証 | 数日〜2週間程度 |
本籍地が転々としている場合、複数の役場に順番に請求する必要があり、全体で1〜2か月かかることもあります。早めに着手してください。
よくある質問
Q. 戸籍謄本は何度も取り直す必要がありますか。 A. 法定相続情報一覧図を作成しておけば、その後の手続きでは戸籍の束の代わりに一覧図の写しを使えることが多く、取り直す手間を減らせます。
Q. 印鑑証明書には有効期限がありますか。 A. 提出先によって「発行から3か月以内」等の期限が定められていることが多いです。手続きの直前に取得することをおすすめします。
Q. 売買契約書が見つかりません。 A. 見つからない場合は、購入時の不動産会社や、当時の通帳の記録、抵当権設定契約書などから購入額が推定できる場合があります。見つからない場合の対応は税理士にご相談ください。
まとめ・次にすること
- 戸籍・印鑑証明書・登記事項証明書・固定資産評価証明書は、ほとんどの手続きで共通して必要
- 相続登記・相続放棄・相続税申告・売却で、それぞれ追加の書類がある
- 兄弟姉妹相続・数次相続・未成年や認知症の相続人・海外在住の相続人がいる場合は、追加の書類が必要になる
- 法定相続情報一覧図を作ると、その後の手続きが楽になる
- 売却予定がある場合は、売買契約書を必ず探しておく
印刷して手元でチェックしながら進めたい場合は、実家の相続手続きに必要な書類一覧チェックシートもあわせてご利用ください。