相続した実家が土砂災害警戒区域にあった|ハザードマップの確認と売却価格への影響

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  1. 土砂災害警戒区域とは何か
  2. レッドゾーンで何が変わるか
  3. 実家が区域内にあるかを確認する方法
  4. 売却時に買主へ説明されること
  5. 売却価格への影響
  6. 相続税の評価では減額が考慮される
  7. 売却以外の選択肢
  8. 誰に相談するか
  9. よくある質問
  10. まとめ・次にすること
  11. 関連記事

不動産会社に査定を頼んだら、「こちらの物件は土砂災害警戒区域に入っていますね」と言われた。あるいは、市役所で書類をそろえている途中で、ハザードマップに実家が色付きで載っているのを見つけた。長く家族が住んできた家だけに、「そんな場所だったのか」と戸惑う方もいると思います。区域に入っていること自体で売れなくなるわけではありませんが、区域の種類によって売却への影響は大きく変わります。まずは何を確認すればよいかを整理しておきましょう。

この記事の結論

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)にある実家でも売却はできますが、区域内であることは不動産会社が買主に必ず説明する事項のため、隠して売ることはできません。特に土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)では建築に構造上の規制がかかるため、買い手が限られ、価格にも影響しやすくなります。まずハザードマップと自治体の指定状況で、どちらの区域に、敷地のどの部分が入っているかを確認してください。

この記事で分かること

  • 土砂災害警戒区域(イエロー)と特別警戒区域(レッド)の違い
  • 実家が区域内にあるかどうかの確認方法
  • 売却時に買主へ説明される内容と、価格への影響
  • 相続税の評価で考慮される点と、売却以外の選択肢

土砂災害警戒区域とは何か

土砂災害警戒区域は、「土砂災害防止法」にもとづいて、都道府県知事が指定する区域です。がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、土石流、地すべりが起きた場合に、住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域が対象になります。

区域には2つの段階があり、制限の強さが大きく異なります。

区分 通称 主な内容
土砂災害警戒区域 イエローゾーン 市町村がハザードマップの作成や避難体制の整備を行う。建築そのものへの規制はない
土砂災害特別警戒区域 レッドゾーン 建物に著しい危害が生じるおそれがある区域。居室のある建物の構造規制、一部の開発行為の許可制、建物の移転の勧告などの対象になる

レッドゾーンは、イエローゾーンの内側、とくに危険が大きい部分に重ねて指定されるのが一般的です。同じ実家の敷地でも、「一部だけがイエロー」「奥の斜面側だけがレッド」ということもあります。

レッドゾーンで何が変わるか

土砂災害特別警戒区域では、主に次のような規制がかかります。

規制 内容
建物の構造規制 居室のある建物を建てる場合、想定される土砂の力に耐えられる構造にする必要があり、建築確認で確認される
特定開発行為の許可 分譲住宅や、高齢者施設・学校・病院などの建設を目的とした開発には、都道府県知事の許可が必要
建物の移転の勧告 著しい損壊のおそれがある建物について、都道府県知事が移転などを勧告することがある

相続した実家を「そのまま使う」だけであれば、すぐに何かを強制されるわけではありません。ただし、建て替えをする場合には、土砂が当たる側の壁を鉄筋コンクリート造にするなどの対策が必要になることがあり、その分だけ建築費が高くなります。これが買い手の判断や価格に影響します。

実家が区域内にあるかを確認する方法

区域の指定状況は、次の方法で確認できます。

1. 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で調べる
「重ねるハザードマップ」で住所を入力すると、土砂災害警戒区域・特別警戒区域のほか、洪水・高潮・津波の想定も重ねて表示できます。まず全体像をつかむのに便利です。

2. 都道府県の土砂災害情報のページで確認する
区域の指定は都道府県が行うため、正式な区域の範囲は都道府県のホームページや、区域を示した図面で確認します。敷地のどの部分が区域に入っているかは、ここで細かく見ておきます。

3. 市区町村の窓口・ハザードマップで確認する
市区町村が作成する土砂災害ハザードマップには、避難場所や避難経路も載っています。分からない点は、防災担当や建築担当の窓口で相談できます。

ハザードマップポータルサイトは、あくまで全体を把握するための地図です。敷地の境目付近など、区域に入っているかどうかが微妙な場合は、必ず都道府県・市区町村の正式な図面で確認してください。

また、まだ区域に指定されていなくても、都道府県が指定に向けた基礎調査を行い、結果を公表している場所もあります。「今は指定されていないが、今後指定される可能性がある」場所かどうかも、あわせて見ておくと安心です。

売却時に買主へ説明されること

不動産会社(宅地建物取引業者)が売買の仲介をするときは、契約前に買主へ「重要事項説明」を行います。土砂災害警戒区域・特別警戒区域の内か外かは、この説明事項に含まれています。

説明される内容 ポイント
土砂災害警戒区域・特別警戒区域の内か外か 区域内であれば、必ず買主に伝わる
水害ハザードマップ上の位置 洪水・雨水出水・高潮のハザードマップに物件がどこにあるかも、2020年8月から説明の対象になっている
特別警戒区域での制限 レッドゾーンでは、構造規制などの制限内容も説明される

つまり、区域内であることを伏せて売ることはできません。売主としては、区域内であることを前提に、どういう買い手に、どういう価格で売るかを考えることになります。

売却価格への影響

土砂災害警戒区域にあることが、価格にどれくらい影響するかは、立地や周辺相場、区域の種類によって大きく異なり、一律の目安はありません。一般的な傾向としては、次のように考えられます。

状況 影響の傾向
イエローゾーンのみ 建築の規制がないため、影響は限定的なことも多い。ただし、災害リスクを気にする買主からは敬遠されることがある
敷地の一部がレッドゾーン 建物をレッドゾーンにかからない位置に建てられるかどうかで、評価が分かれる
敷地の大部分がレッドゾーン 建て替え時の構造対策費用がかかるため、買い手が限られ、価格も下がりやすい

国の住宅取得支援制度の中には、土砂災害特別警戒区域内の新築住宅を支援の対象外としているものがあります。買主が利用できる制度が限られることも、レッドゾーンの物件が売れにくくなる理由のひとつです。

また、山すその地域や傾斜地は、もともと周辺の不動産需要が小さいことも多く、区域の影響だけでなく「地域の需要」とあわせて考える必要があります。傾斜地そのものの売り方は相続した傾斜地・がけ地の実家を売る方法で解説しています。

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相続税の評価では減額が考慮される

相続税の申告が必要な場合、土砂災害特別警戒区域にある宅地は、評価額を下げて計算できる仕組みがあります。国税庁の財産評価基本通達では、宅地のうち特別警戒区域に入っている部分の面積の割合に応じて、一定の補正率を掛けて評価額を下げることとしています(平成31年1月1日以後の相続から適用)。

項目 内容
対象 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内にある宅地
計算の考え方 区域に入っている面積の割合が大きいほど、補正率が小さくなる(評価額が下がる)
イエローゾーンのみの場合 この補正の対象にはならない

相続税の申告が必要かどうかや、補正の適用については、税理士に確認してください。申告の要否の判断は実家の相続税申告は必要?で整理しています。

売却以外の選択肢

レッドゾーンにかかっていて、売却の見通しが立ちにくい場合は、次のような選択肢も比較してみてください。

選択肢 検討のポイント
訳あり物件の買取業者に売る 仲介では買い手が見つかりにくい物件でも、買取という形で値段がつくことがある
隣地の所有者に打診する 隣地の所有者にとっては、土地を広げる価値がある場合がある
保有を続けて管理する 空き家として保有する場合は、大雨の前後の見回りや、斜面・擁壁の状態確認が必要
相続土地国庫帰属制度 建物を解体して更地にし、要件を満たせば国に引き取ってもらえる可能性がある。ただし、崖がある土地などは対象外になることがある

保有を続ける場合は、大雨のときに誰が実家の状況を確認するか、近所の方にどう連絡してもらうかも決めておくと安心です。空き家の管理方法は空き家になった実家の管理方法を参考にしてください。

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誰に相談するか

内容 相談先
区域の範囲・指定状況の確認 都道府県の砂防担当課、市区町村の防災・建築担当窓口
建て替え時の構造対策 建築士、建築確認の窓口
売却価格・売り方の相談 不動産会社、訳あり物件の買取業者
相続税の評価 税理士

よくある質問

Q. 親が住んでいた頃は何もなかったのに、区域に入っているのはなぜですか。 A. 土砂災害警戒区域の指定は、都道府県による基礎調査の結果をもとに順次進められてきました。親が家を建てた後に指定されたケースは珍しくありません。指定されたからといって、すぐに住めなくなるわけではありません。

Q. イエローゾーンだけなら、売却時に気にしなくてよいですか。 A. 建築の規制はありませんが、重要事項説明で買主に伝わる事項であることは変わりません。災害リスクを重視する買主もいるため、査定の段階で不動産会社に区域のことを伝え、価格への影響を確認しておくことをおすすめします。

Q. 区域の指定を外してもらうことはできますか。 A. 砂防えん堤などの対策工事が行われ、危険が小さくなった場合に、区域が見直されることはあります。ただし、個人の希望で外してもらうものではありません。対策工事の予定などは、都道府県の担当窓口に確認してください。

まとめ・次にすること

  • 土砂災害警戒区域には、イエローゾーン(警戒区域)とレッドゾーン(特別警戒区域)の2段階があります
  • 区域内であることは重要事項説明で買主に伝わるため、区域を前提に売り方を考える必要があります
  • レッドゾーンでは建て替え時の構造規制があり、買い手が限られ価格にも影響しやすくなります
  • まずハザードマップポータルサイトと都道府県の図面で、敷地のどの部分が区域に入っているかを確認しましょう

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この記事について

執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
公開日
最終確認日
確認した主な公的情報
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なし

※個別の判断は専門家にご確認ください。