売るか残すか決めかねている間も、実家は空き家として存在し続けます。「とりあえず様子を見る」という判断自体は悪いことではありませんが、何もせずに放置すると、後で困ることになります。
この記事の結論
空き家を放置すると、老朽化に加えて「管理不全空家」に指定され、固定資産税の軽減特例が外れるリスクがあります。月1回程度の巡回が難しい場合は、空き家管理サービスの利用を検討してください。
この記事で分かること
- 空き家を放置するとどうなるか
- 「管理不全空家」「特定空家」に指定される条件
- 自分でできる管理と、業者に頼む管理の違い
- 管理サービスの費用の目安
空き家を放置するとどうなるか
| 放置期間の目安 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 数か月 | 郵便物の滞留、庭木の伸び、害虫の発生 |
| 1年前後 | 湿気による建材の傷み、給排水管の劣化、害獣の侵入 |
| 数年 | 屋根・外壁の破損、倒壊リスク、資産価値の大幅な低下 |
| 自治体から指摘を受けた場合 | 「管理不全空家」「特定空家」への指定、固定資産税特例の除外 |
建物は人が住まなくなると、換気や通水が行われないために劣化が早まります。「まだ大丈夫」と思っている間に、内部から傷みが進んでいることがあります。
「管理不全空家」「特定空家」に指定されるとどうなるか
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、自治体は管理が行き届いていない空き家を次のように区分し、指導・勧告を行うことができます。
- 特定空家等:倒壊のおそれがある、衛生上有害、著しく景観を損なっているなど、放置することが不適切な状態にある空き家
- 管理不全空家等(2023年の法改正で新設):そのまま放置すると特定空家等になるおそれがある状態の空き家
固定資産税が上がる場合があります 住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する特例(小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3)があります。管理不全空家等・特定空家等として市区町村から勧告を受けると、この特例の対象から除外され、翌年度から税額が上がります。
指導・勧告は、いきなり行われるわけではなく、通常は自治体からの助言・指導を経て行われます。指摘を受けた段階で対応すれば、多くの場合は勧告に至る前に解消できます。
自分でできる管理
郵便受けの確認・郵便物の転送手続き
郵便局の転送サービスを利用すると、実家宛ての郵便物を自分の住所で受け取れます。
通風・換気
窓を開けて空気を入れ替えます。閉め切ったままだとカビや湿気の原因になります。
通水
水道管の水を定期的に流します。長期間水を流さないと、排水トラップが乾いて悪臭が上がってくることがあります。
庭木・雑草の手入れ
伸びすぎた庭木や雑草は、景観だけでなく防犯上の問題にもなります。
外観の確認
外壁・屋根・塀に破損がないか、定期的に確認します。
現地まで行ける距離であれば、月1回程度の頻度でこれらを行うことが望ましいとされています。
遠方で自分では管理できない場合
現地に頻繁に行けない場合は、空き家管理サービスの利用を検討してください。
| サービス内容 | 主な作業 |
|---|---|
| 巡回・報告のみ | 外観確認、郵便物確認、写真報告 |
| 巡回+簡易な管理 | 上記に加え、通風・通水、庭木の簡易な手入れ |
| フルサポート | 上記に加え、清掃、庭木の剪定、修繕の手配等 |
料金は、巡回頻度(月1回〜月4回程度)とサービス内容によって、月額数千円〜1万円台が目安とされています。
いつまで「様子を見る」のか
管理サービスを使いながら空き家を維持することはできますが、固定資産税・管理費用は持ち続ける限り発生し続けます。「いつまで様子を見るか」を、期限を決めずに続けるのではなく、たとえば「1年後に改めて売る・残すを判断する」というように、見直しのタイミングを決めておくことをおすすめします。
誰に相談するか
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 空き家の巡回・管理 | 空き家管理サービス、シルバー人材センター(自治体による) |
| 特定空家等の指摘を受けた場合 | 自治体の空き家対策担当課 |
| 売却・活用の判断 | 不動産会社 |
よくある質問
Q. 空き家にしていても、火災保険には入っておくべきですか。 A. 空き家でも火災・水漏れ等のリスクはあるため、加入を継続することが一般的です。空き家用のプランを用意している保険会社もあります。
Q. 近隣から苦情が来ました。どうすればよいですか。 A. まずは苦情の内容(庭木、害虫、景観等)を確認し、早めに対応してください。放置すると自治体への通報につながり、指導・勧告の対象になることがあります。
Q. 管理サービスと不動産会社、どちらに先に相談すべきですか。 A. 「当面は残す」と決めている場合は管理サービス、「近いうちに売るかもしれない」場合は先に不動産会社へ相談し、査定を確認したうえで管理方法を決めるとよいでしょう。
まとめ・次にすること
- 空き家の放置は、老朽化と固定資産税上昇の両方のリスクがある
- 2023年の法改正で「管理不全空家等」が新設され、指定されると税の特例が外れる
- 自分で管理できない場合は、空き家管理サービスの利用を検討する
- 「いつまで様子を見るか」の見直し時期を決めておく
現地に行ける頻度を確認し、月1回の管理が難しい場合は管理サービスの利用を検討してください。