相続した実家を親族に売る方法|身内間の売買で注意したい価格と税金

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  1. まず確認したいこと:「売買」と「遺産分割」は別の手続き
  2. 価格の決め方:身内でも「相場」を基準にする
  3. 相場より著しく安いと、差額が贈与とみなされる
  4. 価格の根拠を残しておく
  5. 売る側に損が出る場合も注意
  6. 親族に売ると使えなくなる特例がある
  7. 親族間売買の進め方
  8. 仲介会社を入れるか、入れないか
  9. 親族間売買で起きやすいトラブル
  10. 親族に売るか、第三者に売るかの判断
  11. 誰に相談するか
  12. よくある質問
  13. まとめ・次にすること
  14. 関連記事

「弟が実家に住みたいと言っている」「近くに住むいとこが、土地ごと買い取ってもいいと言ってくれた」。相続した実家を、見知らぬ買い手ではなく身内に引き継いでもらえるなら、気持ちのうえでも安心できるものです。ただ、身内同士だからこそ「安くしておくよ」「細かい書類はいらないよね」となりやすく、あとから税金や家族間の不満として問題が表に出ることがあります。

この記事の結論

相続した実家を兄弟やおい・めいなどの親族に売ることは、個人間の売買として問題なくできます。ただし、相場より大幅に安い価格で売ると、差額が買った親族への贈与とみなされて贈与税がかかることがあります。また、親子・夫婦・生計を一にする親族への売却では、空き家の3,000万円特別控除などが使えません。価格の根拠を残し、契約書と登記は専門家に依頼して進めるのが安全です。

この記事で分かること

  • 親族に実家を売る前に確認したい「そもそも売買でよいのか」という点
  • 身内間の売買で価格をどう決めるか、安く売ると何が起きるか
  • 親族への売却で使えなくなる税金の特例
  • 仲介を通さずに売買する場合の進め方と、専門家に頼む範囲
  • 親族間売買で起きやすいトラブルと防ぎ方

まず確認したいこと:「売買」と「遺産分割」は別の手続き

親族に実家を引き継いでもらう方法は、売買だけではありません。買いたいと言っている親族が、同じ相続の相続人かどうかで、選べる方法が変わります。

引き継ぐ相手 考えられる方法 主な特徴
同じ相続の相続人(兄弟など) 遺産分割(代償分割) 遺産分割協議で実家をその人が相続し、ほかの相続人に代償金を払う。売買ではないため、原則として売った側に譲渡所得税はかからない
同じ相続の相続人(兄弟など) 相続後に売買 いったん自分が相続して名義を移したあと、兄弟に売る。売った側に譲渡所得税がかかる可能性がある
相続人ではない親族(おい・めい、いとこ等) 相続後に売買 相続登記をして自分の名義にしてから売る。通常の売却と同じく譲渡所得の申告が必要になることがある

兄弟の1人が実家を引き継ぎたいという場合、遺産分割がまだ終わっていないなら、売買より代償分割のほうが税金や手続きの面で合っていることがあります。すでに遺産分割を終えて自分の単独名義になっている、または相手が相続人ではない親族である場合に、売買という形を検討することになります。

代償分割と、売却して分ける換価分割の税金の違いは、関連記事の「実家を兄弟で分けたときにかかる税金」で整理しています。

価格の決め方:身内でも「相場」を基準にする

親族間売買でいちばん問題になりやすいのが価格です。

相場より著しく安いと、差額が贈与とみなされる

国税庁の案内では、個人から著しく低い価額で財産を譲り受けた場合、時価と支払った対価との差額が、売った人からの贈与とみなされるとされています。土地や家屋の場合、この時価は「通常の取引価額に相当する金額」とされています。

たとえば、相場で2,000万円程度の実家を、親族だからと500万円で売った場合、差額の部分について買った親族に贈与税がかかる可能性があります。売る側は好意のつもりでも、税負担は買った側に生じる点に注意が必要です。

どこからが「著しく低い」かは、一律の割合で決まっているわけではなく、個別の事情に応じて判断されます。相続税評価額や固定資産税評価額を基準にすればよい、と単純には言えないため、価格を下げる場合は事前に税理士に確認してください。

価格の根拠を残しておく

身内間の売買では、あとで「なぜその価格にしたのか」を説明できる状態にしておくことが大切です。

  • 不動産会社に査定を依頼し、査定書を保管しておく(複数社だとより客観的)
  • 必要に応じて不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する
  • 近隣の取引事例や公示地価などを参考資料として残す

価格の根拠は、税務上の説明だけでなく、ほかの親族から「安く譲ったのでは」と言われたときの説明材料にもなります。

売る側に損が出る場合も注意

相場より安く売ったことで売る側に譲渡損失が出ても、価格の低さによっては、その損失が税金の計算上なかったものとして扱われることがあります。安く売ることは、売る側・買う側の双方の税金に影響すると考えておきましょう。

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親族に売ると使えなくなる特例がある

相続した実家を売るときには、税金を軽くする特例を使えることがあります。ただし、買主が親族の場合には使えない特例があります。

特例 親族への売却での扱い
被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 親子や夫婦、生計を一にする親族など、売主と特別の関係がある人への売却は対象外
自分が住んでいた家を売ったときの3,000万円特別控除 配偶者や直系血族、生計を一にする親族などへの売却は対象外
相続税の取得費加算の特例 買主が親族であることを理由に対象外になるものではないが、申告期限から3年以内の売却などの要件がある

兄弟やおい・めいで、生計を別にしている場合は、特例の対象外にならないケースもあります。ただし「特別の関係がある人」の範囲には細かい決まりがあるため、特例を使うことを前提に価格を決めている場合は、契約前に税務署か税理士に適用の可否を確認してください。

空き家の3,000万円特別控除を使えるつもりで相場より安く売ったところ、買主との関係から特例が使えず、想定より税金が多くなったというのは起こりうる失敗です。「特例が使えるか」と「その価格で贈与とみなされないか」は、セットで確認しておきましょう。

親族間売買の進め方

仲介会社を通さずに、当事者同士で合意して売買することもできます。その場合も、次の流れで手続きを踏むことが大切です。

1. 相続登記を済ませる
実家が亡くなった親の名義のままでは売買による名義変更ができません。まず遺産分割協議を終え、売る人の名義に相続登記をします。相続登記は2024年4月から義務化されています。

2. 価格の根拠をそろえる
不動産会社の査定や鑑定評価を取り、相場を確認します。安くする場合は、贈与とみなされないか税理士に相談しておきます。

3. 支払い方法を決める
買う親族が住宅ローンを使う場合、親族間の売買は金融機関によって扱いが異なり、融資を受けにくいことがあります。早めに金融機関に相談し、一括払いか分割払いか、分割なら期間や金額を書面で決めます。

4. 売買契約書を作る
口約束で済ませず、物件の表示、価格、支払い方法と期日、引き渡し日、固定資産税の精算、建物の不具合があった場合の扱い(契約不適合責任)などを書面にします。司法書士や弁護士に作成・確認を依頼すると安心です。

5. 代金の支払いと所有権移転登記
代金の支払いと同時に、売買による所有権移転登記を申請します。登記は司法書士に依頼するのが一般的です。登録免許税がかかるほか、買主には後日、不動産取得税の通知が届くことがあります。

6. 翌年に確定申告をする
売った側に譲渡所得が出た場合は、売却した翌年に確定申告が必要です。特例を使う場合も申告が必要です。

仲介会社を入れるか、入れないか

親族間の売買は、当事者同士で合意できていれば仲介会社を通さなくても成立します。仲介手数料がかからない一方で、仲介会社が行う物件調査や重要事項の説明がないため、専門家への依頼を組み合わせて不足を補うことになります。

項目 仲介会社を入れる 当事者同士で進める
仲介手数料 かかる かからない
物件調査・重要事項説明 仲介会社が行う 自分たちで確認する必要がある
契約書の作成 仲介会社が用意する 司法書士・弁護士に依頼するのが安心
住宅ローンの相談 必要書類がそろいやすい 金融機関によって重要事項説明書などを求められることがある

最近は、親族間売買のように買主が決まっている取引について、契約書作成や手続きのサポートだけを引き受ける不動産会社もあります。

親族間売買で起きやすいトラブル

  • 代金を分割払いにしたが、途中で支払いが止まり、身内ゆえに強く催促できない
  • 売ったあとに雨漏りなどの不具合が見つかり、「知っていたのに黙っていた」と関係がこじれる
  • ほかの兄弟から「相場より安く譲った」「自分も買いたかった」と不満が出る
  • 固定資産税や、引き渡しまでの管理費用の負担があいまいなまま残る

いずれも、契約書に取り決めを残し、ほかの相続人にも経緯を共有しておくことで防ぎやすくなります。親族だからこそ、「言わなくても分かる」に頼らず、第三者と売買するときと同じ手順を踏むことが、関係を守ることにもつながります。

親族に売るか、第三者に売るかの判断

親族への売却が向いている 第三者への売却を考えたい
実家を家族の手元に残したいという思いが強い 相場どおりの価格で売りたい
買う親族に、相場に近い価格を払う資金のめどがある 買う親族の資金計画に不安がある
ほかの相続人も親族への売却に納得している 親族間で価格についての意見が割れている
建物の状態をお互いによく知っている 建物の不具合が多く、後日の説明が難しい

親族への売却が難しそうな場合は、通常の仲介売却や買取も含めて比べてみると、判断しやすくなります。

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誰に相談するか

内容 相談先
価格が贈与とみなされないか、特例が使えるか 税理士、税務署
相続登記・所有権移転登記、契約書の作成 司法書士
親族間で意見が対立している、分割払いの取り決め 弁護士
相場の確認、査定 不動産会社、不動産鑑定士
住宅ローンの利用 金融機関

よくある質問

Q. 親族に売る場合、相続税評価額で売れば問題ありませんか。 A. 国税庁の案内では、土地や家屋の時価は「通常の取引価額に相当する金額」とされています。相続税評価額は一般に実際の取引価格より低めになることが多いため、その価格で売れば必ず問題ないとは言えません。事前に税理士に確認してください。

Q. 兄弟への売却でも、空き家の3,000万円特別控除は使えますか。 A. 親子や夫婦、生計を一にする親族など、特別の関係がある人への売却は対象外です。兄弟でも生計を別にしている場合などは対象外にならないことがありますが、他の要件もあるため、税務署や税理士に確認してください。

Q. 仲介会社を通さずに売買しても違法ではありませんか。 A. 個人が自分の不動産を売る場合、仲介会社を通すことは義務ではありません。ただし、契約書の作成や登記は専門家に依頼し、物件の状態や取り決めを書面に残しておくことをおすすめします。

まとめ・次にすること

  • 相続した実家を親族に売ることはできるが、相手が相続人なら遺産分割(代償分割)のほうが合っていることもある
  • 相場より著しく安く売ると、差額が買った親族への贈与とみなされることがある
  • 親子・夫婦・生計を一にする親族などへの売却では、3,000万円特別控除が使えない
  • 査定書などで価格の根拠を残し、契約書と登記は専門家に依頼する
  • 迷う場合は、第三者への売却と手取りを比べてから決める

身内への売却について税理士に相談する

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執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
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なし

※個別の判断は専門家にご確認ください。