相続した実家をどうするか考えたとき、多くの方がまず検討するのが「売却」です。ここでは、最も一般的な仲介による売却の流れと注意点を整理します。
この記事の結論
仲介による売却は、買取に比べて時間はかかりますが、市場価格に近い金額で売れる可能性が高い方法です。相続登記を済ませたうえで、複数の不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結んで売却活動を進めます。
この記事で分かること
- 仲介売却の全体の流れ
- 売却前に済ませておくべき手続き
- 仲介と買取の違い
- 売却にかかる費用と期間の目安
仲介売却の流れ
1. 相続登記を済ませる
売却するには、被相続人名義のままでは進められません。相続人名義への変更(相続登記)が必要です。2024年4月から相続登記は義務化されています。
2. 複数の不動産会社に査定を依頼する
1社だけでなく、複数社に査定を依頼して金額と対応を比較します。
3. 媒介契約を結ぶ
査定・対応を比較して依頼先を決め、媒介契約(一般・専任・専属専任のいずれか)を結びます。
4. 売却活動を行う
不動産会社がポータルサイトへの掲載、内覧対応などを行います。
5. 売買契約・引き渡し
買主が見つかったら売買契約を結び、決済・引き渡しを行います。
仲介と買取の違い
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い | 仲介より2〜3割ほど低くなる傾向 |
| 売却までの期間 | 3か月〜半年程度が目安 | 数週間〜1か月程度が目安 |
| 買主 | 一般の個人・法人 | 不動産会社 |
| 内覧対応 | 必要(複数回になることもある) | 原則1回程度で済むことが多い |
時間をかけてでも高く売りたい場合は仲介、早さと手間の少なさを優先する場合は買取が向いています。両方の査定を取り、比較してから決める方法もあります。
売却にかかる費用の目安
| 費用 | 目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格 × 3%+6万円+消費税(上限額) |
| 印紙税 | 契約金額に応じて数千円〜数万円 |
| 譲渡所得税 | 売却益が出た場合に課税(特別控除の適用有無で変動) |
| 抵当権抹消費用 | 被相続人のローンが残っていた場合に発生 |
売却によって利益(譲渡所得)が出ると、譲渡所得税がかかる場合があります。「空き家の3,000万円特別控除」など、要件を満たせば税負担を軽減できる特例もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
売却前に確認しておきたいこと
- 相続人が複数いる場合、売却には相続人全員の同意(遺産分割協議)が必要です
- 建物の状態(旧耐震、傷みの程度)によっては、仲介での売却が難しく買取のほうが現実的な場合があります
- 境界が未確定の場合、測量が必要になることがあり、売却までの期間が延びる要因になります
誰に相談するか
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 相続登記の手続き | 司法書士 |
| 売却・査定 | 不動産会社 |
| 譲渡所得税の計算・特例の適用 | 税理士 |
よくある質問
Q. 相続登記が済んでいないと、査定も依頼できませんか。 A. 査定自体は登記前でも依頼できる不動産会社が多いです。ただし、実際の売却活動・契約には相続登記の完了が必要です。
Q. 媒介契約の種類はどれを選べばよいですか。 A. 一般媒介は複数社に依頼できる一方、専任・専属専任は1社に絞る代わりに手厚いサポートが受けやすい傾向があります。物件の状況や希望に応じて不動産会社と相談してください。
Q. 売却代金は相続人でどう分けますか。 A. 遺産分割協議で定めた割合、または法定相続分に応じて分けるのが一般的です。売却前に分け方を相続人間で合意しておくとスムーズです。
まとめ・次にすること
- 仲介売却は、時間をかけて市場価格に近い金額で売りたい場合に向いています
- 売却前に相続登記を済ませ、相続人全員の同意を得ておく必要があります
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、仲介と買取の両方を比較することをおすすめします