このページについて 以下は、複数のよくある相談内容をもとに編集部が再構成した架空の設例です。実際にあった相談事例ではありません。登場する人物・地名は仮のものであり、金額・期間は状況によって大きく異なります。
このモデルケースの結論
祖父の代から名義変更をしないまま父も亡くなり、相続人が叔父・叔母・いとこを含む9人に増えていた数次相続のモデルケースです。まず司法書士に依頼して戸籍を収集し直し、全員の関係を法定相続情報一覧図で整理してから、遺産分割協議を進めました。
経過(時系列)
固定資産税の納税通知書で名義に気づく(1か月目)
父の死後、実家の固定資産税納税通知書を確認したところ、宛名が祖父のままになっていることに気づいた。相談者は自分たちだけで相続できると考えていたが、司法書士に確認したところ「祖父の相続がまだ完了していない」ことが判明した。
戸籍の収集(2〜3か月目)
祖父の出生から死亡までの戸籍、祖父の子(相談者の親を含む)全員の戸籍、さらにすでに死亡している子がいればその子(相談者のいとこ)の戸籍まで、司法書士が順にさかのぼって収集した。本籍地が複数の市区町村にまたがっていたため、収集だけで2か月ほどかかった。
相続人の確定・法定相続情報一覧図の作成(4か月目)
最終的に、祖父の相続人は子4人(すでに2人死亡)、死亡した子の代わりに相続する孫(代襲相続)を含めて合計9人と判明した。関係を整理した法定相続情報一覧図を作成し、法務局の認証を受けた。
遺産分割協議(5〜7か月目)
9人全員に事情を説明し、実家は相談者が単独で取得する代わりに、他の相続人には金銭を渡さない(実家以外に分けるべき祖父の遺産がなかった)ことで合意した。面識のない相続人もいたため、司法書士が間に入って書面でのやり取りを中心に進めた。
相続登記の申請(8か月目)
遺産分割協議書に9人全員の実印・印鑑証明書を添えて、祖父から相談者の親への相続、親から相談者への相続をまとめて登記する「中間省略」に近い形で申請し、名義変更が完了した。
このモデルケースのポイント
- 固定資産税の納税通知書の宛名を確認したことで、名義の問題に早く気づけた
- 数次相続では、相続人が想定より大幅に増えることが珍しくない
- 面識のない相続人がいる場合、司法書士が間に入ることで感情的な対立を避けやすくなる
- 実家以外に分けるべき遺産がなかったため、代償金なしでの合意に至った
数次相続で相続人が増えるかどうかは、亡くなった方の代がどこまでさかのぼるかによって変わります。詳しい進め方は、未登記・祖父名義の家を売却する方法で解説しています。
費用の目安(このケースの場合)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 戸籍収集・法定相続情報一覧図の作成(司法書士報酬) | 8万〜15万円程度(相続人の人数・本籍地の数による) |
| 遺産分割協議書の作成 | 上記に含まれることが多い |
| 相続登記の登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% |
| 相続登記の申請代行(司法書士報酬) | 6万〜10万円程度 |
相続人の人数が多いほど、戸籍収集と協議書への押印のやり取りに時間と費用がかかります。早い段階で司法書士に見積もりを確認することをおすすめします。
もし相続人の一部と連絡が取れない場合
このケースでは9人全員と連絡が取れましたが、代襲相続人の中に疎遠な人がいて連絡先が分からない場合もあります。その場合は、住民票・戸籍の附票で所在を調べるところから始めます。詳しくは疎遠な相続人と連絡が取れなかったモデルケースで解説しています。
まとめ・次にすること
- 固定資産税の納税通知書の宛名で、名義が誰になっているかを確認できます
- 数次相続では、想定より多くの相続人が見つかることがあります
- 面識のない相続人がいる場合は、早めに司法書士に間に入ってもらうと進めやすくなります
- 相続登記は2024年4月から義務化されており、期限(原則3年以内)にも注意が必要です
同じような状況の方は、未登記・祖父名義の家を売却する方法もあわせてご覧ください。