配偶者居住権を設定して実家に住み続けたモデルケース|遺産分割協議での手続きの流れ

この記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

最終確認:

目次を開く
  1. 経過(時系列)
  2. このモデルケースのポイント
  3. 手続きと費用の目安(このケースの場合)
  4. 配偶者居住権が終了したら
  5. まとめ・次にすること
  6. 関連記事・関連ケース

このページについて 以下は、複数のよくある相談内容をもとに編集部が再構成した架空の設例です。実際にあった相談事例ではありません。登場する人物・地名は仮のものであり、金額・期間は状況によって大きく異なります。

このモデルケースの結論

被相続人の配偶者が実家に住み続けられるよう、遺産分割協議で配偶者居住権を設定したモデルケースです。所有権は子(長男)が取得し、母は登記した配偶者居住権にもとづいて、亡くなるまで無償で実家に住み続けられるようにしました。

相続人
母(78歳)、長男(相談者)、次男の3人
実家の状況
築35年の木造2階建て。父の死後、母が単身で居住を継続
当初の悩み
母の住まいを守りたいが、実家の名義を母にすると子2人の取り分がほぼ残らず、将来の母の相続(二次相続)で兄弟間の話し合いが複雑になる懸念もあった
選んだ方法
遺産分割協議で、所有権は長男が取得し、母に配偶者居住権を設定して登記する

経過(時系列)

選択肢の比較(相続開始から1か月目)
父の遺産は実家(土地・建物)と預貯金がほとんどで、現金だけで法定相続分どおりに分けるのは難しい状況だった。母がそのまま実家を単独で相続する案、長男が所有権を取得して母には無償で住んでもらう「使用貸借」にする案、長男が所有権を取得したうえで母に配偶者居住権を設定する案の3つを比較した。実家の相続で誰が相続人になるかを確認しながら、母・長男・次男の3人で話し合いを始めた。

使用貸借との違いを確認(2か月目)
使用貸借(口約束や契約書だけで無償で住まわせる方法)は登記ができず、第三者に居住権を主張できない(対抗力がない)ことが分かった。長男に万が一のこと(債権者からの差し押さえや、長男自身の相続)があった場合に母の居住が不安定になるリスクを避けたいと考え、登記ができる配偶者居住権を選ぶ方針にした。あわせて、相続税の試算を税理士に依頼した。

評価額の確認(3か月目)
不動産の評価額をもとに、配偶者居住権の財産評価額と、配偶者居住権が設定された状態での所有権(負担付き所有権)の評価額を、税理士に算定してもらった。母が高齢であることも考慮した数値を確認し、長男・次男それぞれが相続する財産のバランスを話し合った。

遺産分割協議書の作成(4か月目)
所有権は長男が取得し、母に配偶者居住権を設定する内容で遺産分割協議書を作成した。預貯金は次男が多めに取得することで、3人の間で納得できる配分にした。

登記の申請(5か月目)
司法書士に依頼し、長男への相続登記(所有権移転登記)と、母の配偶者居住権の設定登記を同時に申請した。登記が完了したことで、母は第三者に対しても居住権を主張できる状態になった。

このモデルケースのポイント

  • 配偶者居住権は登記をすることで、所有者が変わった場合でも第三者に居住権を主張できる(対抗要件を備えられる)
  • 使用貸借(口約束)では登記ができず、所有者の状況が変わったときに居住が不安定になるリスクがある
  • 存続期間は原則として配偶者が亡くなるまでで、遺産分割協議や遺言で期間を区切ることもできる
  • 固定資産税など建物の通常の必要費は、原則として配偶者居住権を持つ配偶者が負担する

このケースでは、母がそのまま実家に住み続けられることを最優先にしつつ、長男・次男の取り分にも配慮した分け方を選びました。配偶者居住権の評価額の算定は専門的な計算が必要なため、税理士・司法書士と連携しながら進めることをおすすめします。

配偶者居住権の設定・相続登記について相談する

配偶者居住権の設定・相続登記について相談する

NCPグループの公式サイトへ移動します

広告:NCPグループ(A8.net)

手続きと費用の目安(このケースの場合)

項目 内容・目安
配偶者居住権の取得方法 遺産分割協議(このケース)。遺言や家庭裁判所の審判で取得することも可能
存続期間 原則、配偶者が亡くなるまで(終身)
登記の要否 第三者への対抗要件として登記が必要。未登記でも当事者間では有効だが、所有者が変わった場合などにトラブルになりやすい
建物の通常の必要費(固定資産税など) 原則として配偶者居住権を持つ配偶者が負担
相続登記・設定登記の費用 登録免許税と司法書士報酬。相続登記の費用の考え方は相続登記の費用はいくら?を参照

相続登記そのものの申請方法は、相続登記の申請方法で詳しく解説しています。配偶者居住権の設定登記は、通常の相続登記とあわせて司法書士に依頼するのが一般的です。

配偶者居住権が終了したら

配偶者居住権は、配偶者が亡くなった時点で消滅します。消滅後は、所有権を持っていた長男が、居住権の負担がない完全な所有権を持つ状態になります。母の死亡後にあらためて配偶者居住権の分の相続税評価が発生するわけではないとされていますが、実際の取り扱いは家族構成や財産状況によって異なるため、税理士に確認してください。

母が施設に入居するなど、実家に住まなくなった場合の配偶者居住権の扱い(放棄、合意による消滅など)も、状況によって選択肢が変わります。将来的な見直しが必要になった際は、あらためて司法書士や税理士に相談することをおすすめします。

まとめ・次にすること

  • 配偶者に実家の所有権を集中させず、居住だけを保護したい場合は配偶者居住権が選択肢になる
  • 使用貸借と違い、登記をすることで第三者に居住権を主張できる
  • 存続期間は原則終身で、固定資産税など通常の必要費は配偶者が負担するのが原則
  • 評価額の算定や相続税への影響は専門的な判断が必要なため、税理士・司法書士と連携して進める

同じように、実家に住み続ける配偶者と、他の相続人の取り分のバランスに悩んでいる方は、実家の相続で誰が相続人になるかもあわせてご覧ください。

配偶者居住権について相談する

配偶者居住権について相談する

NCPグループの公式サイトへ移動します

広告:NCPグループ(A8.net)

関連記事・関連ケース

この記事について

執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
公開日
最終確認日
確認した主な公的情報
修正履歴
なし

※個別の判断は専門家にご確認ください。