実家の相続では、司法書士、税理士、弁護士、不動産会社と、複数の専門家に相談する場面が出てきます。それぞれの役割は「実家の相続、誰に相談する?」で整理していますが、ここでは「結局いくらかかるのか」という費用の総額に焦点を当てて整理します。
この記事の結論
実家の相続で専門家に依頼する場合、司法書士(相続登記代理)は5万〜10万円程度、税理士(相続税申告代理)は遺産総額に応じて30万〜100万円程度、弁護士(遺産分割の交渉・調停)は着手金20万〜50万円程度+報酬金、不動産会社(仲介手数料)は売却価格の3.3%+6.6万円程度が目安です。全員に依頼する必要はなく、状況に応じて必要な専門家だけを選べば総額を抑えられます。
この記事で分かること
- 専門家4種の費用相場と、費用が変わる要因
- 複数の専門家に依頼した場合の総額のイメージ
- 費用を抑えるためにできること
- 無料相談・後払いを利用できる場面
専門家ごとの費用相場一覧
| 専門家 | 主な依頼内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 相続登記(名義変更)の代理申請 | 5万〜10万円程度(登録免許税は別) |
| 税理士 | 相続税の申告代理 | 遺産総額の0.5〜1%程度、または30万〜100万円程度 |
| 弁護士 | 遺産分割の交渉・調停の代理 | 着手金20万〜50万円程度+報酬金(取得額の一定割合) |
| 不動産会社 | 売却の仲介 | 売却価格×3.3%+6.6万円程度(400万円超の場合) |
これらは複数の専門家事務所・不動産会社が公表している料金体系を参考にした目安であり、統一された公的統計ではありません。相続人の数、財産の内容、もめている度合いによって金額は変動します。正確な金額は、必ず個別の見積もり・料金表で確認してください。
司法書士に依頼する場合の費用
相続登記を司法書士に依頼する場合、報酬は5万〜10万円程度が目安です。これに加えて、登記の際に国へ納める登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)が別途かかります。
登録免許税は司法書士報酬とは別物です 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%(1,000分の4)で、国税庁の税額表で確認できます。相続人が多い、名義が祖父母の代のままなど、戸籍の収集や相続人調査が複雑になるほど、司法書士報酬も高くなる傾向があります。詳しい内訳は相続登記の費用はいくら?で確認してください。
税理士に依頼する場合の費用
相続税の申告を税理士に依頼する場合、報酬は遺産総額に応じて変動する料金体系(総額の0.5〜1%程度)を採用している事務所が多く、目安として30万〜100万円程度になることが一般的です。土地の評価や特例の適用が複雑になるほど、報酬も高くなる傾向があります。
- 財産に占める不動産の割合が高いほど、評価作業(路線価方式・倍率方式の判断)の負担が増え、報酬に影響することがあります
- 小規模宅地等の特例など、複数の特例の適用可否を検討する場合は、追加料金が発生することもあります
- 遺産総額が基礎控除以下で申告そのものが不要な場合、税理士への報酬は発生しません(相続税申告は必要?で判断方法を確認できます)
弁護士に依頼する場合の費用
弁護士に遺産分割の交渉や調停の代理を依頼する場合、着手金(依頼時に支払う費用)が20万〜50万円程度、成功した場合の報酬金(取得できた財産の一定割合)が別途かかる料金体系が一般的です。
- 相続人同士の対立が深く、調停・審判まで進むほど、対応期間が長くなり総額も上がりやすくなります
- 初回相談を無料としている事務所もあるため、依頼前にまず相談し、見積もりを確認することをおすすめします
- 弁護士に依頼するのは「対立が深刻な場合」だけではありません。連絡が取れない相続人がいる場合など、早い段階での相談が結果的に総額を抑えることもあります
不動産会社に依頼する場合の費用
実家を売却する場合の仲介手数料は、宅地建物取引業法にもとづき、国土交通省の告示で上限が定められています。400万円を超える取引では「売却価格×3.3%+6.6万円(税込)」という式で計算されるのが実務上一般的です。売却価格800万円以下の物件には、特例で33万円(税込)を上限とする仲介手数料が認められています。
査定・相談自体は無料で対応する不動産会社が一般的で、仲介手数料は売買契約が成立したときにのみ発生します。詳しい内訳は実家売却の費用と手取りで確認してください。
複数の専門家に依頼した場合の総額イメージ
1. 名義変更だけの場合
相続人が少なく、話し合いもまとまっている場合、司法書士への依頼(5万〜10万円程度+登録免許税)だけで済むこともあります。
2. 相続税の申告も必要な場合
遺産総額が基礎控除を超える場合、司法書士報酬に加えて税理士報酬(30万〜100万円程度)が加わります。
3. 話し合いがまとまらない場合
弁護士への依頼(着手金20万〜50万円程度+報酬金)が加わり、総額はさらに上がります。
4. 実家を売却する場合
不動産会社への仲介手数料(売却価格に応じた金額)が別途発生しますが、これは売却代金から支払われるため、事前に持ち出しの現金を用意する必要は通常ありません。
このように、専門家への支払いは「必ず全員に依頼するもの」ではなく、状況に応じて必要な専門家だけが増えていく仕組みです。まず何に困っているかを整理し、必要な相談先から動くことが総額を抑える近道になります。
費用を抑えるためにできること
- 複数の事務所・会社から見積もりを取り、料金体系(固定額か、財産額に応じた変動額か)を比較する
- 自分でできる部分(戸籍の収集など)は自分で行い、専門的な判断が必要な部分だけを依頼する
- 初回相談が無料の事務所を活用し、依頼前に総額の見込みを確認する
- 相続税がかからない、話し合いがまとまっているなど、そもそも依頼が不要な専門家がいないかを先に確認する
誰に相談するか
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 名義変更(相続登記) | 司法書士 |
| 相続税の申告 | 税理士 |
| 相続人同士の対立 | 弁護士 |
| 売却・活用 | 不動産会社 |
それぞれの対応範囲の詳しい違いは、実家の相続、誰に相談する?で確認できます。
よくある質問
Q. 専門家への相談は必ず有料ですか。 A. 事務所・会社によって異なります。不動産会社の査定・相談は無料が一般的で、司法書士・税理士・弁護士も初回相談を無料としているところがあります。依頼する前に確認してください。
Q. 費用を払えない場合、相続放棄すべきですか。 A. 専門家への費用が払えないことと、相続放棄をすべきかどうかは別の問題です。相続放棄は借金などマイナスの財産が多い場合に検討するもので、費用の負担だけを理由に判断するものではありません。判断に迷う場合は、まず無料相談を利用してください。
Q. 司法書士と税理士、どちらに先に相談すればよいですか。 A. 名義変更が先に必要な場合は司法書士、相続税がかかりそうな場合は税理士からで構いません。多くの事務所が、対応できない範囲について他の専門家を紹介してくれます。
まとめ・次にすること
- 専門家への支払いは、司法書士(5万〜10万円程度)、税理士(30万〜100万円程度)、弁護士(着手金20万〜50万円程度+報酬金)、不動産会社(仲介手数料)のいずれかまたは組み合わせで発生する
- 全員に依頼する必要はなく、状況に応じて必要な専門家だけを選べば総額を抑えられる
- 不動産会社の仲介手数料は売却代金から支払われるため、事前の持ち出しは通常不要
- 複数の事務所・会社から見積もりを取り、料金体系を比較することが費用を抑える近道になる