実家が「借地」に建っていた場合、土地は地主のもの、建物だけが相続財産という特殊な状態になります。所有権のケースとは異なる手続きや注意点があるため、順を追って確認します。
この記事の結論
借地権を相続した場合、土地の名義変更は不要ですが、借地契約は相続人に引き継がれます。地主への通知、地代の支払い継続、売却時は地主の承諾(または承諾料の支払い)が必要になる点を確認して進めます。
この記事で分かること
- 借地権を相続したときに必要な手続き
- 地主への対応で確認すべきこと
- 売却・建て替え時に必要な承諾と承諾料の目安
- 借地権にまつわるよくあるトラブル
借地権の相続で必要な手続き
| 内容 | 借地権(建物)の場合 | 通常の所有権の場合 |
|---|---|---|
| 土地の名義変更 | 不要(土地は地主の名義のまま) | 必要(相続登記) |
| 建物の名義変更 | 必要(建物の相続登記) | 必要(建物の相続登記) |
| 地主への承諾 | 相続による承継自体には原則不要 | 該当なし |
| 地代の支払い | 相続人が引き継いで支払う | 該当なし(固定資産税を負担) |
借地権は「相続」による承継であるため、地主の承諾がなくても引き継ぐことができます。ただし、今後の関係を円滑にするためにも、相続が発生したことは早めに地主へ伝えておくことをおすすめします。
地主への対応で確認すべきこと
1. 借地契約書の内容を確認する
契約期間、地代、更新料、増改築・建て替え時の条件などを確認します。契約書が見つからない場合は、地主に確認します。
2. 相続が発生したことを地主に伝える
今後の連絡先、地代の振込先変更などを伝えます。
3. 地代の支払いを継続する
相続後も地代の支払いが滞ると、契約解除のリスクにつながります。
4. 今後の方針(住む・貸す・売却する)を検討する
方針によって、地主との調整内容が変わります。
売却・建て替えを検討する場合
借地権付き建物を売却する場合、借地権を第三者に譲渡することになるため、原則として地主の承諾が必要です。承諾を得る際には、一般的に「承諾料(譲渡承諾料)」の支払いを求められることが多く、借地権価格の10%程度が目安とされています。
- 地主の承諾を得ずに借地権を譲渡すると、契約解除の原因になることがあります
- 建て替えや増改築についても、契約内容によっては地主の承諾(および承諾料)が必要な場合があります
- 地主が承諾しない場合、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続き(借地非訟)を利用できる場合があります
借地権の売却は、通常の所有権の売却と比べて専門的な調整が必要です。借地権付き建物の取り扱いに慣れた不動産会社や、司法書士・弁護士への相談をおすすめします。
借地権を手放す方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 地主に買い取ってもらう | 土地と建物の権利を一体化できるため、地主が応じるケースもある |
| 第三者に売却する(地主の承諾が必要) | 借地権付き建物として、専門の不動産会社を通じて売却する |
| 建物を解体して土地を返還する(更地返還) | 契約内容によっては、原状回復(更地化)を求められる場合がある |
まず地主に買い取りの意向を確認するのが、手続きが少なく済む方法です。地主が難色を示す場合は、借地権の売買に対応した不動産会社に相談します。
誰に相談するか
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 建物の相続登記 | 司法書士 |
| 借地契約・承諾料の交渉 | 弁護士、借地権に詳しい不動産会社 |
| 借地権の売却 | 借地権付き建物の取り扱いに慣れた不動産会社 |
よくある質問
Q. 地主から契約解除を求められることはありますか。 A. 相続による承継自体は契約解除の理由にはなりません。ただし、地代の滞納など契約違反があれば解除の対象になり得ます。
Q. 更新料は必ず払う必要がありますか。 A. 契約書に更新料の定めがある場合は、契約に従って支払う必要があります。定めがない場合、法律上は当然に更新料が発生するわけではありませんが、慣行として支払いを求められることもあります。
Q. 借地権も相続税の対象になりますか。 A. 借地権は相続税の課税対象財産に含まれます。評価方法は所有権とは異なり、路線価に借地権割合を掛けて算出するのが一般的です。詳しくは税理士にご確認ください。
まとめ・次にすること
- 借地権は相続による承継自体に地主の承諾は不要ですが、早めの連絡が望ましいです
- 地代の支払いを継続し、契約内容(更新料・建て替え条件)を確認してください
- 売却時は地主の承諾と承諾料が必要になるのが一般的です
- 借地権の扱いは専門性が高いため、専門家への相談をおすすめします