親の口座が凍結された|実家の固定資産税や葬儀費用を立て替えずに払う方法

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  1. なぜ口座は凍結されるのか
  2. 預貯金の仮払い制度で払い戻せる金額
  3. それでも足りない場合:家庭裁判所の保全処分
  4. 手続きの流れと必要書類
  5. 仮払いを受けたあとの注意点
  6. 誰に相談するか
  7. よくある質問
  8. まとめ・次にすること
  9. 関連記事

親が亡くなったことを金融機関に伝えたところ、口座がすぐに凍結されてしまい、葬儀費用や実家の固定資産税の支払いに困った、という声は少なくありません。「遺産分割が終わるまで、何年も口座からお金を引き出せないのでは」と不安になりますが、実は一定額までなら相続人が単独で払い戻せる制度があります。

この記事の結論

金融機関は、名義人の死亡を把握すると口座を凍結し、以後は相続人全員の同意(または遺産分割の確定)がなければ払い戻しに応じません。ただし、2019年の相続法改正で「預貯金の仮払い制度」が設けられ、相続人は他の相続人の同意がなくても、口座ごとに一定額(1つの金融機関につき上限150万円)まで単独で払い戻せます。葬儀費用や実家の固定資産税など、使いみちに制限はありません。

この記事で分かること

  • なぜ口座は凍結されるのか、いつ凍結されるのか
  • 預貯金の仮払い制度で払い戻せる金額の計算方法
  • 仮払い制度でも足りない場合に使える、もう1つの方法
  • 手続きに必要な書類と、仮払いを受けたあとの注意点

なぜ口座は凍結されるのか

口座の名義人が亡くなったことを金融機関が把握すると、その口座は凍結され、以後の入出金や引き落としが止まります。これは法律上の義務ではなく、各金融機関が独自の実務として行っている対応です。相続人の1人が単独で預金を引き出し、他の相続人との間でトラブルになることを防ぐための措置とされています。

凍結のきっかけは、相続人からの連絡のほか、新聞のお悔やみ欄、地域の担当者が把握した情報など金融機関によってさまざまです。役所へ死亡届を提出しても、その情報が自動的に金融機関へ伝わるわけではありません。

凍結される前に相続人の1人が預金を引き出しても、それ自体で違法になるわけではありません。ただし、他の相続人に無断で引き出すと、後の遺産分割協議でトラブルの原因になりやすいため、引き出した場合は使いみちを記録し、他の相続人に共有しておくことをおすすめします。

預貯金の仮払い制度で払い戻せる金額

2019年7月に施行された相続法改正により、遺産分割が終わる前でも、相続人が単独で一定額まで預貯金を払い戻せる「預貯金の仮払い制度」(民法909条の2)が設けられました。

払戻しできる金額の計算式 払戻し可能額 = 相続開始時の預貯金残高(口座ごと)× 1/3 × 払戻しを行う相続人の法定相続分

ただし、同一の金融機関に対しては合計150万円が上限です。複数の口座がある場合も、その金融機関からの払戻し総額は150万円までとなります。

前提 内容
預金残高(相続開始時) 900万円
相続人 子2人(法定相続分は各2分の1)
1人あたりの計算上の上限 900万円 × 1/3 × 1/2 =150万円
実際に払い戻せる金額 150万円(150万円の上限とちょうど一致)

計算上の金額が150万円を超える場合でも、払い戻せるのは150万円までです。反対に、預金残高が少ない場合や法定相続分が小さい場合は、計算結果がそのまま上限になります。

葬儀費用、実家の固定資産税、当面の生活費など、払い戻したお金の使いみちに法律上の制限はありません。他の相続人の同意も不要で、必要書類をそろえれば金融機関の窓口で手続きできます。

それでも足りない場合:家庭裁判所の保全処分

仮払い制度の上限(150万円)を超える資金が必要な場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てたうえで、「預貯金債権の仮分割の仮処分」(家事事件手続法200条3項)を申し立てる方法があります。こちらは上限額が定められていない一方、裁判所への申立てが必要で、他の相続人の利益を害さないことなど一定の要件を満たす必要があり、手続きに時間がかかります。

預貯金の仮払い制度(民法909条の2) 家庭裁判所の保全処分(家事事件手続法200条3項)
手続き先 金融機関の窓口 家庭裁判所
上限額 1金融機関につき150万円 上限なし(裁判所が必要性を判断)
他の相続人の同意 不要 遺産分割調停・審判の申立てが前提
かかる時間 数日〜数週間程度(金融機関による) 申立てから決定まで一定の期間が必要

手続きの流れと必要書類

1. 口座がある金融機関に連絡する
死亡の事実を伝え、仮払い制度を利用したい旨を相談します。

2. 必要書類を確認し、そろえる
金融機関ごとに求められる書類は異なりますが、一般的には亡くなった方の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの、または法定相続情報一覧図)、払戻しを求める相続人の戸籍謄本・印鑑証明書、通帳・キャッシュカードなどが必要です。

3. 払戻し金額を計算してもらう
残高証明の取得とあわせて、金融機関側で払戻し可能額を計算してもらいます。

4. 窓口で払戻しを受ける
書類に不備がなければ、数日〜数週間程度で払い戻されます。

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仮払いを受けたあとの注意点

  • 仮払いを受けた金額は、その相続人が遺産の一部を「先に取得した」ものとして扱われます。最終的な遺産分割協議では、この金額を差し引いたうえで残りの財産を分けることになるため、受け取った金額と使いみちを記録し、他の相続人と共有しておいてください
  • 仮払い制度はあくまで預貯金についての制度です。実家の固定資産税の口座振替が凍結口座に設定されている場合、振替自体は止まったままのことが多く、納付書での支払いに切り替えるなど別途対応が必要です
  • 相続放棄を検討している場合、仮払いを受けた預貯金を葬儀費用以外の目的で使うと、単純承認(相続を受け入れたとみなされること)と判断されるおそれがあります。相続放棄を迷っている段階では、仮払いを受ける前に司法書士や弁護士に確認してください

誰に相談するか

内容 相談先
仮払い制度の手続き・必要書類 口座がある金融機関の窓口
上限を超える資金が必要な場合の申立て 家庭裁判所、弁護士
相続放棄を迷っている場合の資金の使いみち 司法書士、弁護士
相続手続き全体の進め方 司法書士、行政書士

よくある質問

Q. 口座はいつ凍結されますか。死亡届を出した時点ですか。 A. 役所への死亡届の提出と、金融機関による口座凍結は連動していません。金融機関が名義人の死亡を把握した時点で凍結されるため、相続人が自ら金融機関に連絡するまで凍結されないこともあります。ただし、凍結前に無断で引き出すと後のトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。

Q. 仮払い制度を使うのに、遺産分割協議は必要ですか。 A. 不要です。仮払い制度は、遺産分割協議がまとまる前でも、相続人が単独で利用できる制度です。

Q. 複数の金融機関に口座がある場合、それぞれで150万円まで払い戻せますか。 A. はい。上限額は「1つの金融機関につき150万円」なので、口座のある金融機関が複数あれば、それぞれで計算上の上限額まで払い戻せます。

まとめ・次にすること

  • 口座は、金融機関が名義人の死亡を把握した時点で凍結され、以後は相続人全員の同意がなければ払い戻せなくなります
  • 預貯金の仮払い制度を使えば、他の相続人の同意なしに、1金融機関につき上限150万円まで単独で払い戻せます
  • 使いみちに制限はなく、葬儀費用や固定資産税の支払いにあてられます
  • 上限を超える資金が必要な場合は、家庭裁判所への申立てによる保全処分という方法もあります
  • 仮払いを受けた金額は遺産分割で差し引かれるため、使いみちを記録し他の相続人と共有しておいてください

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執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
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