実家を売った年の固定資産税は誰が払うのか|1月1日の所有者に届く納税通知と売買時の精算

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  1. 固定資産税は「1月1日の所有者」に1年分かかる
  2. 売買契約で行う「固定資産税精算金」とは
  3. 起算日は1月1日か4月1日か
  4. 計算例
  5. 精算金は「税金の戻り」ではなく売却代金の一部
  6. 相続した実家ならではの注意点
  7. 親が亡くなった年に売る場合
  8. 相続登記が終わる前に1月1日を迎えた場合
  9. 年末に契約して年明けに引き渡す場合
  10. 誰に相談するか
  11. よくある質問
  12. まとめ・次にすること
  13. 関連記事

相続した実家の売却が決まり、引き渡しも終わってほっとしたころに、実家のあった市区町村から固定資産税の納税通知書が届く。「もう売ったのに、なぜ自分に?」と戸惑う方は少なくありません。逆に、売買契約書に「固定資産税等の精算」という項目があり、何のお金なのか分からないまま署名しようとしている方もいるかもしれません。

固定資産税は「1月1日に誰が持っていたか」で1年分の納税者が決まる税金です。この仕組みを押さえておくと、届いた通知書の意味も、契約書の精算金の意味も、すっきり理解できます。

この記事の結論

固定資産税はその年の1月1日時点の所有者に1年分が課税されるため、年の途中で実家を売っても、その年度の納税通知書は売主(相続した側)に届き、市区町村へは売主が1年分を納めます。そのうえで、売買契約で引き渡し日以降の分を日割りで計算し、買主から「精算金」として受け取るのが一般的な取引慣行です。この精算金は税金の還付ではなく売却代金の一部として扱われ、譲渡所得の収入金額に含まれます。

この記事で分かること

  • 実家を売った年の固定資産税が、売主に1年分請求される理由
  • 売買時の「固定資産税精算金」の計算方法と、起算日(1月1日・4月1日)による違い
  • 精算金が確定申告でどう扱われるか
  • 相続登記前・年末年始をまたぐ売却など、相続した実家ならではの注意点

固定資産税は「1月1日の所有者」に1年分かかる

固定資産税は、土地や家屋の所有者に市区町村が課す税金です。課税の基準になる日(賦課期日)は毎年1月1日と決まっており、その日に所有者として扱われている人に、その年度の1年分の税額が課されます。市街化区域内の土地・家屋であれば、都市計画税も同じ考え方で一緒に課税されます。

このため、たとえば6月に実家を売って7月に引き渡した場合でも、その年の1月1日時点では売主が所有者だったので、その年度の固定資産税は売主が全額を市区町村に納めることになります。買主が市区町村から直接請求されるのは、翌年度(翌年1月1日の所有者として)からです。

時期 市区町村から見た納税者 実際の流れ
売却した年度 1月1日時点の所有者(売主) 売主に1年分の納税通知書が届き、売主が納める
売却した翌年度 翌年1月1日時点の所有者(買主) 買主に納税通知書が届く

引き渡し後も、納付は止めないでください 売却が済んだからといって、届いた納税通知書の残りの期別分を払わずにいると、延滞金がかかったり督促を受けたりするのは売主側です。買主から精算金を受け取ったかどうかに関係なく、市区町村への納付は通知書どおりに最後まで続けてください。

売買契約で行う「固定資産税精算金」とは

市区町村への納付は売主が1年分を行う一方で、引き渡し後に物件を使うのは買主です。そこで不動産の売買では、引き渡し日を境に、その年度の税額を日割りで売主・買主に配分し、買主負担分を買主から売主へ支払うという精算が一般的に行われています。

これは法律で義務づけられた手続きではなく、売買契約の当事者間の取り決めです。多くの売買契約書のひな形に条項として入っているため、仲介を依頼している場合は不動産会社が計算し、決済日に売買代金と一緒にやり取りするのが通常の流れです。

起算日は1月1日か4月1日か

日割り計算の「1年の始まり」をいつにするかは、契約によって異なります。

起算日 1年の区切り よく使われる地域の傾向
1月1日 1月1日〜12月31日 関東を中心に多く見られる
4月1日 4月1日〜翌年3月31日 関西を中心に多く見られる

地域の傾向はあくまで慣行で、決まりではありません。どちらを使うかは契約書の条項で確認してください。起算日が違うと、同じ引き渡し日でも精算金の額が変わります。

計算例

年税額(固定資産税・都市計画税の合計)が12万円の実家を、7月1日に引き渡した場合で比べてみます(1年を365日として計算)。

項目 起算日1月1日の場合 起算日4月1日の場合
売主負担の期間 1月1日〜6月30日(181日) 4月1日〜6月30日(91日)
買主負担の期間 7月1日〜12月31日(184日) 7月1日〜翌年3月31日(274日)
買主から受け取る精算金 12万円 × 184/365 ≒ 60,493円 12万円 × 274/365 ≒ 90,082円

※引き渡し日をどちらの負担に含めるか、端数をどう処理するかも契約によって異なります。実際の金額は仲介会社の精算書で確認してください。

納税通知書が届く前に引き渡す場合 固定資産税の納税通知書が届くのは、多くの市区町村で4月〜6月ごろです。それより前に引き渡す場合は、その年度の税額がまだ確定していないため、前年度の税額をもとに精算する取り決めにすることがよくあります。後から差額を精算し直すのかどうかも、契約前に確認しておくと安心です。

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精算金は「税金の戻り」ではなく売却代金の一部

ここが見落とされやすい点です。買主から受け取る固定資産税精算金は、名前に「税」と付いていても、市区町村から税金が還付されたわけではありません。国税庁の質疑応答事例では、売主が受け取った未経過分の固定資産税相当額は、譲渡所得の収入金額に算入するものとされています。

つまり、確定申告で譲渡所得を計算するときは、次のように売買代金と合わせて収入金額に含めて考えます。

1. 収入金額を確認する
売買代金に、固定資産税・都市計画税の精算金を加えた金額が収入金額になります。

2. 取得費と譲渡費用を差し引く
相続した実家の場合、取得費は亡くなった親が購入したときの価格などを引き継ぎます。仲介手数料などの売却時の費用は譲渡費用として差し引きます。

3. 特例が使えるか確認する
空き家の3,000万円特別控除など、相続した実家の売却で使える特例があれば、適用したうえで税額を計算します。

精算金の分だけ収入金額が増えるため、利益が出ている場合は税額にわずかに影響します。一方、特別控除などで譲渡所得がゼロになるケースでは、実際の税負担には影響しないこともあります。いずれにしても、申告書の収入金額に精算金を含め忘れないようにしてください。

なお、売主が市区町村に納めた売却年度の固定資産税そのものは、居住用の実家を売った場合の譲渡費用には通常含まれません。精算金を受け取った分とは別の話として整理しておくと混乱しません。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。

相続した実家ならではの注意点

親が亡くなった年に売る場合

親が1月1日時点で存命だった年は、その年度の固定資産税は親(亡くなった方)に課税されています。親が亡くなった後は、その納税義務を相続人が引き継ぐため、残りの期別分は相続人が納めることになります。同じ年に実家を売った場合も、精算の考え方は通常の売却と同じです。

相続登記が終わる前に1月1日を迎えた場合

相続登記がまだで、登記簿上は亡くなった親の名義のまま1月1日を迎えた場合でも、固定資産税は実際に所有している相続人に課税されます。多くの市区町村では、相続人のうち1人を「相続人代表者」として届け出るよう求めており、納税通知書はその代表者あてに届きます。

代表者が売主と違う人になっていないか確認を 兄弟の誰かが代表者として通知を受けていて、実家は別の兄弟が単独で相続して売った、という場合があります。このとき、市区町村に納めた人と、買主から精算金を受け取る人がずれることがあります。売却の前後で、誰が納め、誰が精算金を受け取り、兄弟間でどう清算するかを話し合っておいてください。

年末に契約して年明けに引き渡す場合

売買契約を12月に結び、引き渡し(所有権の移転)が翌年1月以降になった場合、翌年1月1日の所有者はまだ売主です。その結果、翌年度の納税通知書も売主に届くことになります。この場合も、翌年度分を日割りで精算するのが一般的ですが、精算の対象年度や基準となる税額をどうするかは、契約前に仲介会社と確認しておきましょう。

状況 起こりやすいこと 事前に確認すること
親が亡くなった年に売る 親あての通知書の残りを相続人が納める 誰が残りの期別分を払うか
相続登記前に1月1日を迎えた 相続人代表者に通知書が届く 代表者と売主が同じ人か
年明けに引き渡す 翌年度分の通知書も売主に届く 精算の対象年度と基準税額

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誰に相談するか

内容 相談先
今年度の税額・納税通知書の宛先 実家のある市区町村の税務担当窓口(資産税課等)
精算金の計算・起算日・契約書の条項 仲介を依頼している不動産会社
精算金を含めた譲渡所得の申告 税務署、税理士
兄弟間で固定資産税の負担をどう分けるか 相続人同士の話し合い(まとまらなければ弁護士)

よくある質問

Q. 精算金を受け取らない契約にすることはできますか。 A. 精算は当事者間の取り決めなので、精算しない内容で合意することも考えられます。ただし一般的な取引慣行とは異なるため、売買価格の交渉とあわせて仲介会社に相談してください。

Q. 精算金は市区町村に申請すれば戻ってくるお金ですか。 A. いいえ。市区町村からの還付ではなく、買主から売主へ支払われるお金です。市区町村への手続きは必要ありません。

Q. 買取業者に売る場合も精算はありますか。 A. 買取の場合も、売買契約で固定資産税の精算を取り決めるのが一般的です。精算の有無や計算方法は、見積もり・契約の段階で確認してください。

まとめ・次にすること

  • 固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分が課税されるため、実家を売った年度の分は売主に納税通知書が届き、売主が納めます
  • 売買契約では、引き渡し日以降の分を日割りで計算し、買主から精算金として受け取るのが一般的です。起算日(1月1日・4月1日)によって金額が変わります
  • 精算金は税金の還付ではなく売却代金の一部で、譲渡所得の収入金額に含めて申告します
  • 相続登記前の代表者あての通知や、年明けの引き渡しなど、相続した実家ならではのずれが起きやすいため、契約前に「誰が納め、誰が受け取るか」を確認しておきましょう

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執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
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