実家の相続で遺留分を侵害されたら|請求できる金額の計算方法と時効

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  1. 遺留分とは何か
  2. 遺留分侵害額の計算方法
  3. 遺留分侵害額請求の進め方
  4. 時効と除斥期間に注意
  5. 実家(不動産)が絡む場合の精算方法
  6. 誰に相談するか
  7. よくある質問
  8. まとめ・次にすること
  9. 関連記事

「実家は同居していた長男がすべて相続する」という遺言や遺産分割の内容を見て、「自分の取り分がほとんどない」と感じたことはないでしょうか。実家のような不動産は現金と違って分けにくいため、相続人の一人にまとまって渡ることが少なくありません。そのようなとき、法律上どこまで取り戻せるのかを整理しておくと、感情的な対立になる前に落ち着いて話し合いを進めやすくなります。

この記事の結論

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上保障された最低限の取り分です。実家を含む財産を1人が多く受け取り、他の相続人の遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分を金銭で請求できます。2019年の民法改正により、不動産そのものではなく金銭での精算が原則になりました。請求できる期間は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年、知らなくても相続開始から10年で消滅します。

この記事で分かること

  • 遺留分の割合と、請求できる相続人・できない相続人
  • 遺留分侵害額の計算の考え方
  • 請求の進め方(話し合いから調停・訴訟まで)
  • 時効(1年)と除斥期間(10年)の違い
  • 実家(不動産)が絡む場合に精算がどう進むか

遺留分とは何か

遺留分は、被相続人が遺言や生前贈与で自由に財産を渡せる範囲を制限し、一定の相続人に「最低限これだけは受け取れる」という権利を保障する制度です。対象になるのは配偶者・子(またはその代襲相続人)・直系尊属(父母・祖父母)で、兄弟姉妹には遺留分がありません。

相続人の組み合わせ 遺留分の合計割合(財産全体に対して)
配偶者のみ、または配偶者と子 2分の1
配偶者と直系尊属 2分の1
子のみ 2分の1
直系尊属のみ 3分の1
兄弟姉妹(配偶者と兄弟姉妹の場合も含む) 遺留分なし

この合計割合に、それぞれの法定相続分をかけ合わせたものが、各相続人の個別の遺留分割合になります。たとえば配偶者と子2人の場合、全体の遺留分は2分の1で、子1人あたりの法定相続分は4分の1なので、子1人の遺留分は「2分の1×4分の1=8分の1」です。

遺留分侵害額の計算方法

遺留分侵害額は、大まかに次の順番で計算します。

  1. 遺留分算定の基礎財産を出す:相続開始時の財産に、一定期間内の生前贈与を加え、債務を差し引きます
  2. 各相続人の遺留分額を出す:基礎財産に、上記の個別の遺留分割合をかけます
  3. 実際に受け取った財産額を差し引く:遺贈・生前贈与ですでに受け取った分や、遺産分割で取得した財産があれば差し引きます
  4. 残った不足額が「遺留分侵害額」:この金額を、遺留分を侵害している相手(多く受け取った相続人など)に金銭で請求します

実家の評価額が争いの中心になることが多く、固定資産税評価額・路線価・不動産会社の査定額のどれを基準にするかで金額が変わります。当事者間で折り合わなければ、不動産鑑定士による鑑定が必要になる場合もあります。

遺留分侵害額請求の進め方

  1. 相手に請求の意思を伝える:口頭でも成立しますが、時効の中断(更新)の証拠を残すため、内容証明郵便で通知するのが一般的です
  2. 話し合いで金額を協議する:合意できれば、支払い方法や分割払いの条件を含めて書面(合意書)を作成します
  3. まとまらなければ調停:家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てます
  4. 調停も不成立なら訴訟:地方裁判所(または簡易裁判所)で遺留分侵害額請求訴訟を行います

話し合いだけで解決できるケースも多くあります。感情的な対立が強い場合や、相手が話し合いに応じない場合は、早い段階で弁護士に相談したほうが、時効を止めそびれるリスクを避けられます。

時効と除斥期間に注意

  • 1年の消滅時効:相続の開始、および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年以内に請求しないと、時効によって権利が消滅します。
  • 10年の除斥期間:たとえ侵害の事実を知らなかったとしても、相続開始の時から10年が経過すると、権利は消滅します。
  • 「知った時から1年」という起算点があいまいになりやすいため、遺言の内容や生前贈与の事実を知った日をメモしておくことをおすすめします。

内容証明郵便で請求の意思表示さえしておけば、その後の具体的な金額の話し合いに時間がかかっても、時効の完成は止められます。話し合いが長引きそうな場合は、まず意思表示だけでも早めに済ませておくと安心です。

実家(不動産)が絡む場合の精算方法

2019年の民法改正より前は、遺留分を侵害された相続人が「不動産の共有持分」を取得する「遺留分減殺請求」という仕組みでした。しかしこれでは、実家が複数人の共有名義になり、かえって権利関係が複雑になる問題がありました。

現在の「遺留分侵害額請求」では、不動産そのものではなく金銭で精算するのが原則です。実家を相続した人が、他の相続人にまとまった金額をすぐに用意できない場合は、家庭裁判所に対して支払期限の猶予(相当の期限の許与)を求めることもできます。

実家を売却して精算金を用意するケースもあり、その場合は名義変更(相続登記)を済ませたうえで、売却活動を進める必要があります。

誰に相談するか

内容 相談先
遺留分侵害額の計算、請求の進め方 弁護士
実家の評価額の目安を知りたい 不動産会社(査定)
相続登記や名義変更の手続き 司法書士
相続税への影響 税理士

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よくある質問

Q. 遺言書に「遺留分を渡さない」と書かれていたら、請求できませんか。 A. 遺言者の意思だけで遺留分を奪うことはできません。遺留分は法律で保障された権利のため、遺言の内容にかかわらず請求できます(相続人自身が遺留分を放棄する手続きを別途とっている場合を除きます)。

Q. 生前に多額の贈与を受けていた場合も対象になりますか。 A. 相続開始前10年以内の相続人への贈与、相続人以外への贈与は原則1年以内のものが、遺留分算定の基礎財産に含まれます。ただし当事者双方が遺留分を侵害すると知りながら行った贈与は、期間にかかわらず含まれる場合があります。

Q. 兄弟姉妹だけが相続人の場合、遺留分の心配はいりませんか。 A. 兄弟姉妹には遺留分がないため、その心配はありません。ただし、遺産分割協議自体は必要になる点は変わりません。

まとめ・次にすること

  • 遺留分は配偶者・子・直系尊属に保障された最低限の取り分で、兄弟姉妹にはありません
  • 侵害されている場合は「遺留分侵害額請求」により、不足分を金銭で請求できます
  • 請求できる期間は、知った時から1年、知らなくても相続開始から10年です
  • 実家(不動産)が絡む場合も、原則は金銭での精算になります
  • 金額の算定や進め方に迷ったら、早めに弁護士へ相談してください

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執筆
実家を相続したら見るサイト 編集部
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